
私は今、非常に危機感を感じています。
東京オリンピック誘致のおもてなしブームが過ぎ、国が「働き方改革」「生産性向上」を政策に掲げてからは、日本のおもてなし・ホスピタリティに反対される方が急増、逆風が吹いているように感じるからです。
更にコロナ禍が非対面、無人化AI化を推し進め、ホスピタリティ不要論を勢いづかせています。
おもてなしを反対している方の、主張を要約すると以下の3つです
① ホスピタリティで売上は上がらない
② 日本の過剰なおもてなしが生産性を下げている
③ 観光において、おもてなしはコンテンツではない
まず①に関してですが、ホスピタリティで売上は必ず上がります。
有名なディズニーランドやリッツ・カールトン、スターバックスといった大企業だけではありません。実例としてホスピタリティタクシーとして有名な長野県の「中央タクシー」、かんてんぱぱの「伊那食品工業」、関東のビジネスホテル「ホテルグリーンコア」…どれも増収増益を続けている企業です。
エビデンスも徐々に出てきました。2016年にEY総合研究所という会社が、600社以上の企業(サービス業)を調査したところ、おもてなし向上に取り組んでいる企業は、取り組んでいない企業と比べ成長率が高いという結果がでました。それも従業員満足との両輪で取り組む企業は、さらに成長率が高いとのことです。(おもてなしの経営に関する調査レポート)
次に②です。確かにホスピタリティは非効率と言えます。これはあえて非効率なことを行うことにより、現代の効率至上主義経済の中で、差別化をおこなう意図があるのです。
しかし、「過剰なおもてなし」に関しては、大多数の企業や自治体が「ホスピタリティ」や「おもてなし」を誤って定義している、もしくは組織内で定義していないまま感覚論で行っていることが問題と考えています。
その良い例が、日本各地の自治体で行われている「おもてなし事業」です。その内容は「新ご当地グルメの開発」から「地域資源の掘り起こしワークショップ」、最近では「インバウンドおもてなしセミナー」など多種多様で統一性がありません。
また、民間でも、ほとんどのホスピタリティ研修・おもてなし研修と呼ばれるものは、接遇マナー講師が行っています。「お客様に感動していただくため、心からのサービスをしましょう。お客様のご要望にNOと言ってはいけません。エレガンスマナーを学びましょう。それでは皆様でお辞儀の練習をご一緒に、ハイ!」といった内容です。
サービス業勤務30年の私の経験から言えることは、もちろん正しい接遇マナーは必要です。しかし正しい接遇マナーだけではお客様はファンにならないということです。ましてやお客様のご要望にNOと言わず、全てタダで提供することが、おもてなしではありません。しつこいですが、おもてなしやホスピタリティの目的は、お客様をファンにして、会社の売上利益を上げることです。
最後に③ですが、こちらもホスピタリティは確かにコンテンツではないので、新規の「集客」には影響しないでしょう。(おもてなし・ホスピタリティをコンテンツとしてHPなどで訴求しているところは、大体ホスピタリティがありません)
しかし「顧客経験価値(心理的・感覚的な価値)」の満足度には大きく影響します。
素晴らしい顧客経験価値は、「生涯顧客」を創るのです。「リピーター」ができるのです。逆にコンテンツだけだと、1回体験すれば満足です。「また来よう!」という生涯顧客は生まれないのです。
さらに数年前からオックスフォード大学の研究で、今後AIが普及すると沢山の仕事が無くなると断定した「
オズボーンレポート」がニュースになりました。そのレポートでは「未来の雇用」と題され「今後10年から20年でなくなる仕事」を予測。各仕事に必要なスキルを仔細に調査したうえで、そのスキルがAIや機械技術の向上によってどんな影響を受けるかを検討しその結果、「702の職種のうち、47%がAIに代替される」と発表し、世界中に衝撃を与えました。
しかし、クリエーティビティー、マネジメント、そしてホスピタリティを必要とされる職種はなくなることが無いとのことですこれからの時代ホスピタリティの技術は、業界問わず社会人として必須スキルになると言えるでしょう
正しくホスピタリティを理解し、正しく行動することは日本にとって不必要ではなく、生涯顧客を生むための最大の武器であるのです!


