
前回までお読みになった方は恐らく、「ホスピタリティ」と比べ「サービス」が劣る概念のように感じたかもしれませんね。ではホスピタリティさえあれば、サービスの論理は本当に必要ないのでしょうか?
しかし、欧米も日本もほとんどの経済活動は「サービス」の論理で動いています。それはなぜでしょうか?
その答えを理解するには、顧客満足の章を思い出してください。
サービスの概念は、まさに機能的価値を満たすのに最適な論理なのです。
マニュアルは最もスピーディーに効率良く、最低限の満足を与えるための手順書(のはず)です。マニュアル通り作業することで、機能的価値を満たすことが容易にできます。
コンビニエンスストアで学生のアルバイト一人が、たくさんの老若男女、どんなお客様でも対応できるのはマニュアル(とシステム)のおかげです。これはこれですごいことです。
ここまで言うと、答えは簡単ですね。
情緒的価値を充足させるために、「ホスピタリティ」が必要ということです。
現代の経済活動のほとんどが、サービスの論理を中心に動いています。コンビニエンスストア、スーパー、ファミリーレストラン、チェーンの居酒屋などなど。さらに本来ホスピタリティ産業の代表格であるべきホテルでさえも、一部ではサービスの概念を中心にオペレーションが組み立てられています。
これらの業態が持つ共通の特徴は、「便利」、「安い」、「早い」などと言ったキーワードです。それらを実現させたのも「サービス」の論理を追求した結果です。
高度成長期でモノが不足した時代、そして人口も増え続けている時は、「効率良く・大量に・早く・安く」を追求したサービスの論理がとても有効に働いたのです。
しかし、これらの業態のお店に行っても、心を動かされることは、あまりありません。
「あのコンビニ行ったら感動した!」「ファミレスの気配りが素晴らしくて泣いちゃった!」と言う例は確かにゼロではないでしょう。しかしあったとしても、たまたまそこで働いていた人の属人的能力が高かっただけで、次に来た時、同じ体験ができるかというと、ほとんどの場合ありません。
右肩上がりでモノが不足していた時代には、サービスの概念を中心に機能的価値を創出するオペレーションが有効だった。しかし右肩下がりでモノも充足して、既に様々な体験をしている現代の顧客には、情緒的要素がより重要視されてきているということです。(一方でネット通販など、機能的価値を重要視している顧客と、二極化していることも押さえるべきポイントです)
だから「ホスピタリティ」と「サービス」両方の考え方が必要なのです。
しかし、問題はその手法です。
サービスにはマニュアルがあり、書かれてある通りやれば誰でもできます。しかし、ホスピタリティ=情緒に訴えるには、相手が何を求めているのかが分からなくてはいけません。相手の心を読むのです。
考えてみてください。普段一番近くにいる家族でさえ、本当は何を求めているのかなんて分からないのではありませんか?ましてや他人で初めて会うお客様が何を求めているかを察するなんて…。超能力者じゃないと困難な気がしてきます。
そういう意味でも、ホスピタリティはやはり難しいのです。
サービスが基本スキルだとしたら、ホスピタリティは応用スキルと言えるでしょう。だからホスピタリティ研修で「これからはホスピタリティが大切です、皆さん心からのサービスをしましょう」という抽象的な話しかできなくなってしまうのです。
では、どうしたら良いのでしょうか?
まずはホスピタリティの基本スキル「みる」「きく」「伝える」チカラをつけることです。
そうすることでお客様が何を求めているかを「想像」して、何を行うことが最善か「手段」を「考え」「行動」することが可能となるでしょう。
詳しくは次章以降で説明したいと思います。


