ホスピタリティにマニュアルは必要か?

すすきのにあるステーキひげさんの黒毛和牛シャトーブリアン。自分にご褒美ですw

ホスピタリティマネジメントを実行する際、マニュアル不要論がよく言われます。

私の考え方は組織風土としてのホスピタリティが根付いている企業を除いて、マニュアルがあるべきだと考えています。そのためにマニュアル作成方法の研修も行っています。

ホスピタリティが重要と言っている私が、マニュアルを作るべき、と言うとおどろかれます。ホスピタリティの書籍を読んでも、「ホスピタリティ推進企業はマニュアルがない」、「ホスピタリティを実践するにはマニュアルは不必要、いやむしろ弊害である」などと書かれていることがほとんどだからです。

しかしホスピタリティの基礎・土台となるサービスを実行する上で、マニュアルは欠かせません。

そして中堅レベルのホテルでもマニュアルが作成されておらず、人員不足で教える人も居ない状態が多いのです。そのために貴重な人材が入っても、すぐ離職してしまう悪循環に陥ります。

マニュアルとはなにかを改めて考えると、組織における「適正化された手順書」だと思います。簡単に言うと、全スタッフが「当たり前のことを当たり前に出来るようにする」ためのものです。

そして、その目的は2つあります。

一つ目は組織運営の経験の中で築いてきた、「暗黙知を知的資産に」することです。

 その為には組織の基本方針や価値観が明確にされた上で(←これ大切!)、作業毎の具体的実施事項・手順・要求水準・ポイント・コツが記述されていなくてはなりません。

そうすることにより、スタッフ全員が同じレベルの業務が可能になるのです。

いわゆる「標準化」ということですね。

マニュアルには、もう一つの目的があります。

マニュアルを通じて「業務改善」を行うことです。一度マニュアルを作成しても、世の中の環境は物凄い速度で変化します。それに伴い顧客の要求や事前期待も常に上昇します。その変化に対応するのが業務改善です。

ということは、マニュアルは一度完成すればOKではなく、そこから変化させる必要があります。

そして改善するためには、基準との差(ギャップ)が分からなくてはなりません。

基準があるからこそ、「差」が分かるのです。

マニュアルが作成され標準化されて無ければ、そのギャップを感じることが難しくなります。

現場を「観る」ことによって、基準との「差」を改善していくのです。

そして、その現場からの声を吸い上げる仕組みを作ることが大切です。

逆に言えば最初から完璧なマニュアルを作成するのではなく、不完全な形で構わないので、とにかく作ってみることが大切です。

あるホテルの業務改善プロジェクトのコンサルをした時、マニュアルが全くなかったので作成することになりました。

皆さんも、パソコンで作成する時のソフトは、汎用性の高いワードを使用することがほとんどだと思います。

しかし出来上がってきたのは、フォトショップという画像編集中心のソフトで作成されたものだったのです。

作成した本人は、誰にでも分かりやすくするため、ビジュアル中心のマニュアルにしたくてフォトショップを使用したとのことでした。

しかし、そのソフトを使用できるのは本人一人だけです。

「改善」による改訂が容易にできないのです。

これではあっという間に、現場で「使われない」マニュアルになってしまいます。

マニュアルを業務改善に繋げるメリットを、最大限に活用している企業が「無印良品」です。

「ムジグラム」と呼ばれるマニュアルは13冊2000ページを超えます。

スタッフはそれを忠実に守るだけではなく、現場でこうした方がもっと良くなると思った事を、常に改善提案できるのです。

たくさん提案すると表彰されるそうです。

そうして「ムジグラム」はドンドン新しくなり、環境に変化対応していくのです。

全ての現場から、より良い作業の方法が取り入れることで、より生きた「自分達のマニュアル」になります。そして皆がそれを守るようになります。

そして、何故それがホスピタリティに繋がるのか。

業務改善を行うことで作業は効率化され「楽」に「早く」なります。

その空いた時間が、ホスピタリティを発揮するため、お客様に向き合う時間になるからです。

忙しい中、気持ちを込めた会話をすることや相手のウォンツを探ることは不可能です。

いかに作業を効率良くできるように適正化を行い、目の前の顧客だけと向き合うことに注力できる態勢にするか。

 これがマニュアルを作成し活用することによる、ホスピタリティに寄与する最大のメリットだと思います。